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 1<HTML>⏎1 
 2<HEAD>⏎2 
 3<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=UTF-8">⏎3 
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 5<meta name="GENERATOR" content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 14.0.3.0 for Windows">⏎5 
 6<TITLE>横笛(大島本)</TITLE>⏎6 
 7</HEAD>⏎7 
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First updated 9/20/1996(ver.1-1)<BR>⏎
8<BODY>⏎
cd3:210-12Last updated 6/4/2010(ver.2-2)<BR>⏎
渋谷栄一校訂(C)<BR>⏎
<P
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9-10<ADDRESS>Last updated 6/4/2010(ver.2-2)<BR>⏎
渋谷栄一校訂(C)</ADDRESS>⏎
 13  <H3>横笛</H3>⏎11 
d114<P>⏎
 15光る源氏の准太上天皇時代四十九歳春から秋までの物語<BR>⏎12 
d116<P>⏎
 17 [主要登場人物]<BR>⏎13 
 18<DL>⏎14 
 19<DT> 光る源氏<ひかるげんじ><BR>⏎15 
 20<DD>呼称---六条の院・院・大殿・大殿の君、四十九歳<BR>⏎16 
 21<DT> 朱雀院<すざくいん>⏎17 
 22<DD>呼称---院・山の帝、源氏の兄<BR>⏎18 
 23<DT> 女三の宮<おんなさんのみや><BR>⏎19 
 24<DD>呼称---入道宮・母宮・宮・君、源氏の正妻<BR>⏎20 
 25<DT> 薫<かおる><BR>⏎21 
 26<DD>呼称---宮の若君・若君・君、柏木と女三宮の密通の子<BR>⏎22 
 27<DT> 匂宮<におうのみや><BR>⏎23 
 28<DD>呼称---三宮、今上帝の第三親王、明石女御の子<BR>⏎24 
 29<DT> 二宮<にのみや><BR>⏎25 
 30<DD>呼称---二宮、今上帝の第二親王、明石女御の子<BR>⏎26 
 31<DT> 夕霧<ゆうぎり><BR>⏎27 
 32<DD>呼称---大将の君・大将・男君・君、光る源氏の長男<BR>⏎28 
 33<DT> 雲居雁<くもいのかり><BR>⏎29 
 34<DD>呼称---上、夕霧の北の方<BR>⏎30 
 35<DT> 致仕の大臣<ちじのおとど>⏎31 
 36<DD>呼称---父大臣・大臣、柏木の父<BR>⏎32 
 37<DT> 四の君<しのきみ>⏎33 
 38<DD>呼称---上、柏木の母<BR>⏎34 
 39<DT> 落葉宮<おちばのみや><BR>⏎35 
 40<DD>呼称---二の宮・一条の宮・宮、朱雀院の第二内親王<BR>⏎36 
 41<DT> 一条御息所<いちじょうのみやすんどころ><BR>⏎37 
 42<DD>呼称---御息所、落葉宮の母<BR>⏎38 
 43</DL>⏎39 
d144<P>⏎
 45第一章 光る源氏の物語 薫の成長<BR>⏎40 
 46<OL>⏎41 
 47<LI>柏木一周忌の法要---<A HREF="#in11">故権大納言のはかなく亡せたまひにし悲しさを</A>⏎42 
 48<LI>朱雀院、女三の宮へ山菜を贈る---<A HREF="#in12">山の帝は、二の宮も、かく人笑はれなるやうにて</A>⏎43 
 49<LI>若君、竹の子を噛る---<A HREF="#in13">若君は、乳母のもとに寝たまへりける</A>⏎44 
 50</OL>⏎45 
 51第二章 夕霧の物語 柏木遺愛の笛<BR>⏎46 
 52<OL>⏎47 
 53<LI>夕霧、一条宮邸を訪問---<A HREF="#in21">大将の君は、かの今はのとぢめにとどめし一言を</A>⏎48 
 54<LI>柏木遺愛の琴を弾く---<A HREF="#in22">和琴を引き寄せたまへれば、律に調べられて</A>⏎49 
 55<LI>夕霧、想夫恋を弾く---<A HREF="#in23">月さし出でて曇りなき空に、羽うち交はす雁がねも</A>⏎50 
 56<LI>御息所、夕霧に横笛を贈る---<A HREF="#in24">「今宵の御好きには、人許しきこえつべく</A>⏎51 
 57<LI>帰宅して、故人を想う---<A HREF="#in25">殿に帰りたまへれば、格子など下ろさせて</A>⏎52 
 58<LI>夢に柏木現れ出る---<A HREF="#in26">すこし寝入りたまへる夢に、かの衛門督</A>⏎53 
 59</OL>⏎54 
 60第三章 夕霧の物語 匂宮と薫<BR>⏎55 
 61<OL>⏎56 
 62<LI>夕霧、六条院を訪問---<A HREF="#in31">大将の君も、夢思し出づるに、「この笛の</A>⏎57 
 63<LI>源氏の孫君たち、夕霧を奪い合う---<A HREF="#in32">こなたにも、二の宮の、若君とひとつに</A>⏎58 
 64<LI>夕霧、薫をしみじみと見る---<A HREF="#in33">大将は、この君を「まだえよくも見ぬかな」と思して</A>⏎59 
 65<LI>夕霧、源氏と対話す---<A HREF="#in34">対へ渡りたまひぬれば、のどやかに御物語など</A>⏎60 
 66<LI>笛を源氏に預ける---<A HREF="#in35">「その笛は、ここに見るべきゆゑあるものなり</A>⏎61 
 67</OL>⏎62 
d168<P>⏎
 69<A HREF="#in41">【出典】</A><BR>⏎63 
 70<A HREF="#in42">【校訂】</A><BR>⏎64 
d171<P>⏎
text3772 <H4>第一章 光る源氏の物語 薫の成長</H4>65 
text3773 <A NAME="in11">[第一段 柏木一周忌の法要]</A><BR>66 
d174<P>⏎
cd2:175-76 故権大納言のはかなく亡せたまひにし悲しさを、飽かず口惜しきものに、恋ひしのびたまふ人多かり。六条院にも、おほかたにつけてだに、世にめやすき人の亡くなるをば、惜しみたまふ御心に、ましてこれは、朝夕に親しく参り馴れつつ、人よりも御心とどめ思したりしかば、<A HREF="#k01">いかにぞやと</A><A NAME="t01">、</A>思し出づることはありながら、あはれは多く、<A HREF="#k02">折々に</A><A NAME="t02">つ</A>けてしのびたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
67 故権大納言のはかなく亡せたまひにし悲しさを、飽かず口惜しきものに、恋ひしのびたまふ人多かり。六条院にも、おほかたにつけてだに、世にめやすき人の亡くなるをば、惜しみたまふ御心に、ましてこれは、朝夕に親しく参り馴れつつ、人よりも御心とどめ思したりしかば、<A HREF="#k01">いかにぞやと</A><A NAME="t01">、</A>思し出づることはありながら、あはれは多く、<A HREF="#k02">折々に</A><A NAME="t02">つ</A>けてしのびたまふ。<BR>⏎
 77 御果てにも、誦経など、取り分きせさせたまふ。よろづも知らず顔にいはけなき御ありさまを見たまふにも、さすがにいみじくあはれなれば、御心のうちに、また心ざしたまうて、黄金百両をなむ別にせさせたまひける。大臣は、心も知らでぞかしこまり喜びきこえさせたまふ。<BR>⏎68 
d178<P>⏎
cd2:179-80 大将の君も、ことども多くしたまひ、とりもちてねむごろに営みたまふ。かの一条の宮をも、このほどの御心ざし深く訪らひきこえたまふ。兄弟の君たちよりもまさりたる御心のほどを、いとかくは思ひきこえざりきと、大臣上も、喜びきこえたまふ。亡き後にも、世のおぼえ重くものしたまひけるほどの見ゆるに、いみじうあたらしうのみ、思し焦がるること、尽きせず。<BR>⏎
<P>⏎
69 大将の君も、ことども多くしたまひ、とりもちてねむごろに営みたまふ。かの一条の宮をも、このほどの御心ざし深く訪らひきこえたまふ。兄弟の君たちよりもまさりたる御心のほどを、いとかくは思ひきこえざりきと、大臣上も、喜びきこえたまふ。亡き後にも、世のおぼえ重くものしたまひけるほどの見ゆるに、いみじうあたらしうのみ、思し焦がるること、尽きせず。<BR>⏎
text3781 <A NAME="in12">[第二段 朱雀院、女三の宮へ山菜を贈る]</A><BR>70 
d182<P>⏎
 83 山の帝は、二の宮も、かく人笑はれなるやうにて眺めたまふなり、入道の宮も、この世の人めかしきかたは、かけ離れたまひぬれば、さまざまに飽かず思さるれど、すべてこの世を思し悩まじ、と忍びたまふ。御行なひのほどにも、「同じ道をこそは勤めたまふらめ」など思しやりて、かかるさまになりたまて後は、はかなきことにつけても、絶えず聞こえたまふ。<BR>⏎71 
d184<P>⏎
 85 御寺のかたはら近き林に抜き出でたる筍、そのわたりの山に掘れる野老などの、山里につけてはあはれなれば、たてまつれたまふとて、御文こまやかなる端に、<BR>⏎72 
d186<P>⏎
 87 「春の野山、霞もたどたどしけれど、心ざし深く堀り出でさせてはべるしるしばかりになむ。<BR>⏎73 
d188<P>⏎
cd3:189-91  世を別れ入りなむ道はおくるとも<BR>⏎
  同じところを君も尋ねよ<BR>⏎
<P>⏎
74  世を別れ入りなむ道はおくるとも<BR>  同じところを君も尋ねよ<BR>⏎
 92 いと難きわざになむある」<BR>⏎75 
d193<P>⏎
cd2:194-95 と聞こえたまへるを、涙ぐみて見たまふほどに、大殿の君渡りたまへり。例ならず、御前近き櫑子どもを、「なぞあやし」と御覧ずるに、院の御文なりけり。見たまへば、いとあはれなり。<BR>⏎
<P>⏎
76 と聞こえたまへるを、涙ぐみて見たまふほどに、大殿の君渡りたまへり。例ならず、御前近き櫑子どもを、「なぞあやし」と御覧ずるに、院の御文なりけり。見たまへば、いとあはれなり。<BR>⏎
 96 「今日か、明日かの心地するを、対面の心にかなはぬこと」<BR>⏎77 
d197<P>⏎
cd2:198-99 などこまやかに書かせたまへり。この「同じところ」の御ともなひを、ことにをかしき節もなき聖言葉なれど、「げにさぞ思すらむかし。我さへおろかなるさまに見えたてまつりて、いとどうしろめたき御思ひの添ふべかめるを、いといとほし」と思す。<BR>⏎
<P>⏎
78 などこまやかに書かせたまへり。この「同じところ」の御ともなひを、ことにをかしき節もなき. 聖言葉なれど、「げにさぞ思すらむかし。我さへおろかなるさまに見えたてまつりて、いとどうしろめたき御思ひの添ふべかめるを、いといとほし」と思す。<BR>⏎
 100 御返りつつましげに書きたまひて、御使には、青鈍の綾<A HREF="#k03">一襲</A><A NAME="t03">賜</A>ふ。書き変へたまへりける紙の、御几帳の側よりほの見ゆるを、取りて見たまへば、御手はいとはかなげにて、<BR>⏎79 
d1101<P>⏎
cd3:1102-104 「憂き世にはあらぬところのゆかしくて<BR>⏎
  背く山路に思ひこそ入れ」<BR>⏎
<P>⏎
80 「憂き世にはあらぬところのゆかしくて<BR>  背く山路に思ひこそ入れ」<BR>⏎
 105 「うしろめたげなる御けしきなるに、このあらぬ所求めたまへる、いとうたて、心憂し」<BR>⏎81 
d1106<P>⏎
 107 と聞こえたまふ。<BR>⏎82 
d1108<P>⏎
cd2:1109-110 今は、まほにも見えたてまつりたまはず、いとうつくしうらうたげなる御額髪、面つきのをかしさ、ただ稚児のやうに見えたまひて、いみじうらうたきを見たてまつりたまふにつけては、「などかうはなりにしことぞ」と、罪得ぬべく思さるれば、御几帳ばかり隔てて、またいとこよなう気遠く、疎々しうはあらぬほどに、もてなしきこえてぞおはしける。<BR>⏎
<P>⏎
83 今は、まほにも見えたてまつりたまはず、いとうつくしうらうたげなる御額髪、面つきのをかしさ、ただ稚児のやうに見えたまひて、いみじうらうたきを見たてまつりたまふにつけては、「などかうはなりにしことぞ」と、罪得ぬべく思さるれば、御几帳ばかり隔てて、またいとこよなう気遠く、疎々しうはあらぬほどに、もてなしきこえてぞおはしける。<BR>⏎
text37111 <A NAME="in13">[第三段 若君、竹の子を噛る]</A><BR>84 
d1112<P>⏎
 113 若君は、乳母のもとに寝たまへりける、起きて這ひ出でたまひて、御袖を引きまつはれたてまつりたまふさま、いとうつくし。<BR>⏎85 
d1114<P>⏎
 115 白き羅に、唐の小紋の紅梅の御衣の裾、いと長くしどけなげに引きやられて、御身はいとあらはにて、うしろの限りに着なしたまへるさまは、例のことなれど、いとらうたげに白くそびやかに、柳を削りて作りたらむやうなり。<BR>⏎86 
d1116<P>⏎
 117 頭は露草してことさらに色どりたらむ心地して、口つきうつくしうにほひ、まみのびらかに、恥づかしう薫りたるなどは、なほいとよく思ひ出でらるれど、<BR>⏎87 
d1118<P>⏎
cd2:1119-120 「かれはいとかやうに際離れたるきよらはなかりしものを、いかでかからむ。宮にも似たてまつらず、今より気高くものものしう、さま異に見えたまへるけしきなどは、わが御鏡の影にも似げなからず」見なされたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
88 「かれはいとかやうに際離れたるきよらはなかりしものを、いかでかからむ。宮にも似たてまつらず、今より気高くものものしう、さま異に見えたまへるけしきなどは、わが御鏡の影にも似げなからず」見なされたまふ。<BR>⏎
 121 わづかに歩みなどしたまふほどなり。この筍の櫑子に、何とも知らず立ち寄りて、いとあわたたしう取り散らして、食ひかなぐりなどしたまへば、<BR>⏎89 
d1122<P>⏎
cd4:2123-126 「あならうがはしや。いと<A HREF="#k04">不便</A><A NAME="t04">な</A>り。かれ取り隠せ。食ひ物に目とどめたまふと、もの言ひさがなき女房もこそ言ひなせ」<BR>⏎
<P>⏎
 とて笑ひたまふ。かき抱きたまひて、<BR>⏎
<P>⏎
90-91 「あならうがはしや。いと<A HREF="#k04">不便</A><A NAME="t04">な</A>り。かれ取り隠せ。食ひ物に目とどめたまふと、もの言ひさがなき女房もこそ言ひなせ」<BR>⏎
 とて笑ひたまふ。かき抱きたまひて、<BR>⏎
 127 「この君のまみのいとけしきあるかな。小さきほどの稚児を、あまた見ねばにやあらむ、かばかりのほどは、ただいはけなきものとのみ見しを、今よりいとけはひ異なるこそ、わづらはしけれ。女宮ものしたまふめるあたりに、かかる人生ひ出でて、心苦しきこと、<A HREF="#k05">誰が</A><A NAME="t05">た</A>めにもありなむかし。<BR>⏎92 
d1128<P>⏎
cd8:4129-136 あはれそのおのおのの生ひゆく末までは、見果てむとすらむやは。<A HREF="#no1">花の盛りは、ありなめど</A><A NAME="te1">」</A><BR>⏎
<P>⏎
 <A HREF="#k06">と</A><A NAME="t06"></A>うちまもりきこえたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
 「うたてゆゆしき御ことにも」<BR>⏎
<P>⏎
 と人びとは聞こゆ。<BR>⏎
<P>⏎
93-96 あはれそのおのおのの生ひゆく末までは、見果てむとすらむやは。<A HREF="#no1">花の盛りは、ありなめど</A><A NAME="te1">」</A><BR>⏎
 <A HREF="#k06">と</A><A NAME="t06"></A>うちまもりきこえたまふ。<BR>⏎
 「うたてゆゆしき御ことにも」<BR>⏎
 と人びとは聞こゆ。<BR>⏎
 137 御歯の生ひ出づるに食ひ当てむとて、筍をつと握り待ちて、雫もよよと食ひ濡らしたまへば、<BR>⏎97 
d1138<P>⏎
 139 「いとねぢけたる色好みかな」とて、<BR>⏎98 
d1140<P>⏎
cd5:2141-145 「<A HREF="#no2">憂き節も忘れず</A><A NAME="te2">な</A>がら呉竹の<BR>⏎
  こは捨て難きものにぞありける」<BR>⏎
<P>⏎
 と率て放ちて、のたまひかくれど、うち笑ひて、何とも思ひたらず、いとそそかしう、這ひ下り騷ぎたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
99-100 「<A HREF="#no2">憂き節も忘れず</A><A NAME="te2">な</A>がら呉竹の<BR>  こは捨て難きものにぞありける」<BR>⏎
 と率て放ちて、のたまひかくれど、うち笑ひて、何とも思ひたらず、いとそそかしう、這ひ下り騷ぎたまふ。<BR>⏎
 146 月日に添へて、この君のうつくしうゆゆしきまで生ひまさりたまふに、まことに、この憂き節、皆思し忘れぬべし。<BR>⏎101 
d1147<P>⏎
 148 「この人の出でものしたまふべき契りにて、さる思ひの外の事もあるにこそはありけめ。逃れ難かなるわざぞかし」<BR>⏎102 
d1149<P>⏎
cd2:1150-151 とすこしは思し直さる。みづからの御宿世も、なほ飽かぬこと多かり。<BR>⏎
<P>⏎
103 とすこしは思し直さる。みづからの御宿世も、なほ飽かぬこと多かり。<BR>⏎
 152 「あまた集へたまへる中にも、この宮こそは、かたほなる思ひまじらず、人の御ありさまも、思ふに飽かぬところなくてものしたまふべきを、かく思はざりしさまにて見たてまつること」<BR>⏎104 
d1153<P>⏎
 154 と思すにつけてなむ、過ぎにし罪許し難く、なほ口惜しかりける。<BR>⏎105 
d1155<P>⏎
text37156 <H4>第二章 夕霧の物語 柏木遺愛の笛</H4>106 
text37157 <A NAME="in21">[第一段 夕霧、一条宮邸を訪問]</A><BR>107 
d1158<P>⏎
cd4:2159-162 大将の君は、かの今はのとぢめにとどめし一言を、心ひとつに思ひ出でつつ、「いかなりしことぞ」とは、いと聞こえまほしう、御けしきもゆかしきを、ほの心得て思ひ寄らるることもあれば、なかなかうち出でて聞こえむもかたはらいたくて、「いかならむついでに、この<A HREF="#k07">事の</A><A NAME="t07">詳</A>しきありさまも明きらめ、またかの人の思ひ入りたりしさまをも聞こしめさむ」と、思ひわたりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
 秋の夕べのものあはれなるに、一条の宮を思ひやりきこえたまひて、渡りたまへり。うちとけしめやかに、御琴どもなど弾きたまふほどなるべし。深くもえ取りやらで、やがてその南の廂に入れたてまつりたまへり。端つ方なりける人の、ゐざり入りつるけはひどもしるく、衣の音なひも、おほかたの匂ひ香うばしく、心にくきほどなり。<BR>⏎
<P>⏎
108-109 大将の君は、かの今はのとぢめにとどめし一言を、心ひとつに思ひ出でつつ、「いかなりしことぞ」とは、いと聞こえまほしう、御けしきもゆかしきを、ほの心得て思ひ寄らるることもあれば、なかなかうち出でて聞こえむもかたはらいたくて、「いかならむついでに、この<A HREF="#k07">事の</A><A NAME="t07">詳</A>しきありさまも明きらめ、またかの人の思ひ入りたりしさまをも聞こしめさむ」と、思ひわたりたまふ。<BR>⏎
 秋の夕べのものあはれなるに、一条の宮を思ひやりきこえたまひて、渡りたまへり。うちとけしめやかに、御琴どもなど弾きたまふほどなるべし。深くもえ取りやらで、やがてその南の廂に入れたてまつりたまへり。端つ方なりける人の、ゐざり入りつるけはひどもしるく、衣の音なひも、おほかたの匂ひ香うばしく、心にくきほどなり。<BR>⏎
 163 例の、御息所、対面したまひて、昔の物語ども聞こえ交はしたまふ。わが御殿の、明け暮れ人しげくて、もの騒がしく、幼き君たちなど、すだきあわてたまふにならひたまひて、いと静かにものあはれなり。うち荒れたる心地すれど、あてに気高く住みなしたまひて、前栽の花ども、<A HREF="#no3">虫の音しげき野辺</A><A NAME="te3">と</A>乱れたる夕映えを、見わたしたまふ。<BR>⏎110 
d1164<P>⏎
text37165 <A NAME="in22">[第二段 柏木遺愛の琴を弾く]</A><BR>111 
d1166<P>⏎
 167 和琴を引き寄せたまへれば、律に調べられて、いとよく弾きならしたる、人香にしみて、なつかしうおぼゆ。<BR>⏎112 
d1168<P>⏎
 169 「かやうなるあたりに、思ひのままなる好き心ある人は、静むることなくて、さま悪しきけはひをもあらはし、さるまじき名をも立つるぞかし」<BR>⏎113 
d1170<P>⏎
cd2:1171-172 など思ひ続けつつ、掻き鳴らしたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
114 など思ひ続けつつ、掻き鳴らしたまふ。<BR>⏎
 173 故君の常に弾きたまひし琴なりけり。をかしき手一つなど、すこし弾きたまひて、<BR>⏎115 
d1174<P>⏎
cd2:1175-176 「あはれいとめづらかなる音に掻き鳴らしたまひしはや。この御琴にも籠もりてはべらむかし。承りあらはしてしがな」<BR>⏎
<P>⏎
116 「あはれいとめづらかなる音に掻き鳴らしたまひしはや。この御琴にも籠もりてはべらむかし。承りあらはしてしがな」<BR>⏎
 177 とのたまへば、<BR>⏎117 
d1178<P>⏎
 179 「<A HREF="#no4">琴の緒絶えにし後</A><A NAME="te4">よ</A>り、昔の御童遊びの名残をだに、思ひ出でたまはずなむなりにてはべめる。院の御前にて、女宮たちのとりどりの御琴ども、試みきこえたまひしにも、かやうの方は、おぼめかしからずものしたまふとなむ、定めきこえたまふめりしを、あらぬさまにほれぼれしうなりて、眺め過ぐしたまふめれば、<A HREF="#no5">世の憂きつま</A><A NAME="te5">に</A>といふやうになむ見たまふる」<BR>⏎118 
d1180<P>⏎
 181 と聞こえたまへば、<BR>⏎119 
d1182<P>⏎
 183 「いとことわりの御思ひなりや。<A HREF="#no6">限りだにある</A><A NAME="te6">」</A><BR>⏎120 
d1184<P>⏎
cd4:2185-188 とうち眺めて、琴は押しやりたまへれば、<BR>⏎
<P>⏎
 「かれなほさらば、声に伝はることもやと、聞きわくばかり鳴らさせたまへ。ものむつかしう思うたまへ沈める<A HREF="#no7">耳をだに、明きらめ</A><A NAME="te7">は</A>べらむ」<BR>⏎
<P>⏎
121-122 とうち眺めて、琴は押しやりたまへれば、<BR>⏎
 「かれなほさらば、声に伝はることもやと、聞きわくばかり鳴らさせたまへ。ものむつかしう思うたまへ沈める<A HREF="#no7">耳をだに、明きらめ</A><A NAME="te7">は</A>べらむ」<BR>⏎
 189 と聞こえたまふを、<BR>⏎123 
 190 「しか伝はる中の緒は、異にこそははべらめ。それをこそ承らむとは聞こえつれ」<BR>⏎124 
d1191<P>⏎
cd2:1192-193 とて御簾のもと近く押し寄せたまへど、とみにしも受けひきたまふまじきことなれば、しひても聞こえたまはず。<BR>⏎
<P>⏎
125 とて御簾のもと近く押し寄せたまへど、とみにしも受けひきたまふまじきことなれば、しひても聞こえたまはず。<BR>⏎
text37194 <A NAME="in23">[第三段 夕霧、想夫恋を弾く]</A><BR>126 
d1195<P>⏎
 196 月さし出でて曇りなき空に、<A HREF="#no8">羽うち交はす雁がね</A><A NAME="te8">も</A>、列を離れぬ、うらやましく聞きたまふらむかし。風肌寒く、ものあはれなるに誘はれて、箏の琴をいとほのかに掻き鳴らしたまへるも、奥深き声なるに、いとど心とまり果てて、なかなかに思ほゆれば、琵琶を取り寄せて、いとなつかしき音に、「想夫恋」を弾きたまふ。<BR>⏎127 
d1197<P>⏎
cd7:3198-204 「思ひ及び顔なるは、かたはらいたけれど、これはこと問はせたまふべくや」<BR>⏎
<P>⏎
 とて切に簾の内をそそのかしきこえたまへど、ましてつつましきさしいらへなれば、宮はただものをのみあはれと思し続けたるに、<BR>⏎
<P>⏎
 「<A HREF="#no9">ことに出でて言はぬも言ふにまさる</A><A NAME="te9">と</A>は<BR>⏎
  人に恥ぢたるけしきをぞ見る」<BR>⏎
<P>⏎
128-130 「思ひ及び顔なるは、かたはらいたけれど、これはこと問はせたまふべくや」<BR>⏎
 とて切に簾の内をそそのかしきこえたまへど、ましてつつましきさしいらへなれば、宮はただものをのみあはれと思し続けたるに、<BR>⏎
 「<A HREF="#no9">ことに出でて言はぬも言ふにまさる</A><A NAME="te9">と</A>は<BR>  人に恥ぢたるけしきをぞ見る」<BR>⏎
 205 と聞こえたまふに、ただ末つ方をいささか弾きたまふ。<BR>⏎131 
cd3:1206-208 「深き夜のあはればかりは聞きわけど<BR>⏎
  ことより顔にえやは弾きける」<BR>⏎
<P>⏎
132 「深き夜のあはればかりは聞きわけど<BR>  ことより顔にえやは弾きける」<BR>⏎
 209 飽かずをかしきほどに、さるおほどかなるものの音がらに、古き人の心しめて弾き伝へける、同じ調べのものといへど、あはれに心すごきものの、片端を掻き鳴らして止みたまひぬれば、恨めしきまでおぼゆれど、<BR>⏎133 
d1210<P>⏎
 211 「好き好きしさを、さまざまにひき出でても御覧ぜられぬるかな。秋の夜更かしはべらむも、昔の咎めやと憚りてなむ、まかではべりぬべかめる。またことさらに心してなむさぶらふべきを、この御琴どもの調べ変へず待たせたまはむや。弾き違ふることもはべりぬべき世なれば、うしろめたくこそ」<BR>⏎134 
d1212<P>⏎
cd2:1213-214 などまほにはあらねど、うち匂はしおきて出でたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
135 などまほにはあらねど、うち匂はしおきて出でたまふ。<BR>⏎
text37215 <A NAME="in24">[第四段 御息所、夕霧に横笛を贈る]</A><BR>136 
d1216<P>⏎
 217 「今宵の御好きには、人許しきこえつべくなむありける。そこはかとなきいにしへ<A HREF="#k08">語り</A><A NAME="t08">に</A>のみ紛らはさせたまひて、<A HREF="#no10">玉の緒にせむ</A><A NAME="te10">心地</A>もしはべらぬ、残り多くなむ」<BR>⏎137 
d1218<P>⏎
cd2:1219-220 とて御贈り物に笛を添へてたてまつりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
138 とて御贈り物に笛を添へてたてまつりたまふ。<BR>⏎
 221 「これになむ、まことに古きことも伝はるべく聞きおきはべりしを、かかる蓬生に埋もるるもあはれに見たまふるを、御前駆に競はむ声なむ、よそながらもいぶかしうはべる」<BR>⏎139 
d1222<P>⏎
 223 と聞こえたまへば、<BR>⏎140 
d1224<P>⏎
 225 「似つかはしからぬ随身にこそははべるべけれ」<BR>⏎141 
d1226<P>⏎
cd2:1227-228 とて見たまふに、これもげに世とともに身に添へてもてあそびつつ、<BR>⏎
<P>⏎
142 とて見たまふに、これもげに世とともに身に添へてもてあそびつつ、<BR>⏎
 229 「みづからも、さらにこれが音の限りは、え吹きとほさず。思はむ人にいかで伝へてしがな」<BR>⏎143 
d1230<P>⏎
cd2:1231-232 とをりをり聞こえごちたまひしを思ひ出でたまふに、今すこしあはれ多く添ひて、試みに吹き鳴らす。盤渉調の半らばかり吹きさして、<BR>⏎
<P>⏎
144 とをりをり聞こえごちたまひしを思ひ出でたまふに、今すこしあはれ多く添ひて、試みに吹き鳴らす。盤渉調の半らばかり吹きさして、<BR>⏎
 233 「昔を偲ぶ独り言は、さても罪許されはべりけり。これはまばゆくなむ」<BR>⏎145 
d1234<P>⏎
cd10:4235-244 とて出でたまふに、<BR>⏎
<P>⏎
 「露しげきむぐらの宿にいにしへの<BR>⏎
  秋に変はらぬ虫の声かな」<BR>⏎
<P>⏎
 と聞こえ出だしたまへり。<BR>⏎
<P>⏎
 「横笛の調べはことに変はらぬを<BR>⏎
  むなしくなりし音こそ尽きせね」<BR>⏎
<P>⏎
146-149 とて出でたまふに、<BR>⏎
 「露しげきむぐらの宿にいにしへの<BR>  秋に変はらぬ虫の声かな」<BR>⏎
 と聞こえ出だしたまへり。<BR>⏎
 「横笛の調べはことに変はらぬを<BR>  むなしくなりし音こそ尽きせね」<BR>⏎
 245 出でがてにやすらひたまふに、夜もいたく更けにけり。<BR>⏎150 
d1246<P>⏎
text37247 <A NAME="in25">[第五段 帰宅して、故人を想う]</A><BR>151 
d1248<P>⏎
 249 殿に帰りたまへれば、格子など下ろさせて、皆寝たまひにけり。<BR>⏎152 
d1250<P>⏎
 251 「この宮に心かけきこえたまひて、かくねむごろがり聞こえたまふぞ」<BR>⏎153 
d1252<P>⏎
cd2:1253-254 など人の聞こえ知らせければ、かやうに夜更かしたまふもなま憎くて、入りたまふをも聞く聞く、寝たるやうにてものしたまふなるべし。<BR>⏎
<P>⏎
154 など人の聞こえ知らせければ、かやうに夜更かしたまふもなま憎くて、入りたまふをも聞く聞く、寝たるやうにてものしたまふなるべし。<BR>⏎
 255 「<A HREF="#no11">妹と我といるさの山の</A><A NAME="te11">」</A><BR>⏎155 
d1256<P>⏎
cd6:3257-262 <A NAME="t09">と</A>声はいとをかしうて、独りごち歌ひて、<BR>⏎
<P>⏎
 「こはなど、かく鎖し固めたる。あな埋れや。今宵の月を見ぬ里もありけり」<BR>⏎
<P>⏎
 とうめきたまふ。格子上げさせたまひて、御簾巻き上げなどしたまひて、端近く臥したまへり。<BR>⏎
<P>⏎
156-158 <A NAME="t09">と</A>声はいとをかしうて、独りごち歌ひて、<BR>⏎
 「こはなど、かく鎖し固めたる。あな埋れや。今宵の月を見ぬ里もありけり」<BR>⏎
 とうめきたまふ。格子上げさせたまひて、御簾巻き上げなどしたまひて、端近く臥したまへり。<BR>⏎
 263 「<A HREF="#no12">かかる夜の月に、心やすく夢見る</A><A NAME="te12">人</A>は、あるものか。すこし出でたまへ。あな心憂」<BR>⏎159 
d1264<P>⏎
 265 など聞こえたまへど、心やましううち思ひて、聞き忍びたまふ。<BR>⏎160 
d1266<P>⏎
 267 君たちの、いはけなく寝おびれたるけはひなど、ここかしこにうちして、女房もさし混みて臥したる、人気にぎははしきに、ありつる所のありさま、思ひ合はするに、多く変はりたり。この笛をうち吹きたまひつつ、<BR>⏎161 
d1268<P>⏎
cd8:4269-276 「いかに名残も、眺めたまふらむ。御琴どもは、調べ変はらず遊びたまふらむかし。御息所も、和琴の上手ぞかし」<BR>⏎
<P>⏎
 など思ひやりて臥したまへり。<BR>⏎
<P>⏎
 「いかなれば故君、ただおほかたの心ばへは、やむごとなくもてなしきこえながら、いと深きけしきなかりけむ」<BR>⏎
<P>⏎
 とそれにつけても、いといぶかしうおぼゆ。<BR>⏎
<P>⏎
162-165 「いかに名残も、眺めたまふらむ。御琴どもは、調べ変はらず遊びたまふらむかし。御息所も、和琴の上手ぞかし」<BR>⏎
 など思ひやりて臥したまへり。<BR>⏎
 「いかなれば故君、ただおほかたの心ばへは、やむごとなくもてなしきこえながら、いと深きけしきなかりけむ」<BR>⏎
 とそれにつけても、いといぶかしうおぼゆ。<BR>⏎
 277 「見劣りせむこそ、いといとほしかるべけれ。おほかたの世につけても、限りなく聞くことは、かならずさぞ<A HREF="#k10">あるかし</A><A NAME="t10">」</A><BR>⏎166 
d1278<P>⏎
 279 など思ふに、わが御仲の、うちけしきばみたる思ひやりもなくて、睦びそめたる年月のほどを数ふるに、あはれに、いとかう押したちておごりならひたまへるも、ことわりにおぼえたまひけり。<BR>⏎167 
d1280<P>⏎
text37281 <A NAME="in26">[第六段 夢に柏木現れ出る]</A><BR>168 
d1282<P>⏎
 283 すこし寝入りたまへる夢に、かの衛門督、ただありしさまの袿姿にて、かたはらにゐて、この笛を取りて見る。夢のうちにも、亡き人の、わづらはしう、この声を尋ねて<A HREF="#k11">来たる</A><A NAME="t11">、</A>と思ふに、<BR>⏎169 
d1284<P>⏎
cd3:1285-287 「笛竹に吹き寄る風のことならば<BR>⏎
  末の世長きねに伝へなむ<BR>⏎
<P>⏎
170 「笛竹に吹き寄る風のことならば<BR>  末の世長きねに伝へなむ<BR>⏎
 288 思ふ方異にはべりき」<BR>⏎171 
d1289<P>⏎
 290 と言ふを、問はむと思ふほどに、若君の寝おびれて泣きたまふ御声に、覚めたまひぬ。<BR>⏎172 
d1291<P>⏎
 292 この君いたく泣きたまひて、つだみなどしたまへば、乳母も起き騷ぎ、上も大殿油近く取り寄せさせたまて、耳挟みして、そそくりつくろひて、抱きてゐたまへり。いとよく肥えて、つぶつぶとをかしげなる胸を開けて、乳などくくめたまふ。稚児もいとうつくしうおはする君なれば、白くをかしげなるに、御乳はいとかはらかなるを、心をやりて慰めたまふ。<BR>⏎173 
d1293<P>⏎
 294 男君も寄りおはして、「いかなるぞ」などのたまふ。うちまきし散らしなどして、乱りがはしきに、夢のあはれも紛れぬべし。<BR>⏎174 
d1295<P>⏎
 296 「悩ましげにこそ見ゆれ。今めかしき御ありさまのほどにあくがれたまうて、夜深き御月愛でに、格子も上げられたれば、例のもののけの入り来たるなめり」<BR>⏎175 
d1297<P>⏎
cd2:1298-299 などいと若くをかしき顔して、かこちたまへば、うち笑ひて、<BR>⏎
<P>⏎
176 などいと若くをかしき顔して、かこちたまへば、うち笑ひて、<BR>⏎
 300 「あやしの、もののけのしるべや。まろ格子上げずは、道なくて、げにえ入り来ざらまし。あまたの人の親になりたまふままに、思ひいたり深くものをこそのたまひなりにたれ」<BR>⏎177 
d1301<P>⏎
cd2:1302-303 とてうち見やりたまへるまみの、いと恥づかしげなれば、さすがに物ものたまはで、<BR>⏎
<P>⏎
178 とてうち見やりたまへるまみの、いと恥づかしげなれば、さすがに物ものたまはで、<BR>⏎
 304 「出でたまひね。見苦し」<BR>⏎179 
d1305<P>⏎
cd2:1306-307 とて明らかなる火影を、さすがに恥ぢたまへるさまも憎からず。まことに、この君なづみて、泣きむつかり明かしたまひつ。<BR>⏎
<P>⏎
180 とて明らかなる火影を、さすがに恥ぢたまへるさまも憎からず。まことに、この君なづみて、泣きむつかり明かしたまひつ。<BR>⏎
text37308 <H4>第三章 夕霧の物語 匂宮と薫</H4>181 
text37309 <A NAME="in31">[第一段 夕霧、六条院を訪問]</A><BR>182 
d1310<P>⏎
 311 大将の君も、夢思し出づるに、<BR>⏎183 
d1312<P>⏎
 313 「この笛のわづらはしくもあるかな。人の心とどめて思へりしものの、行くべき方にもあらず。女の御伝へはかひなきをや。いかが思ひつらむ。この世にて、数に思ひ入れぬことも、かの今はのとぢめに、一念の恨めしきも、もしはあはれとも思ふにまつはれてこそは、長き夜の闇にも惑ふわざななれ。かかればこそは、何ごとにも執はとどめじと思ふ世なれ」<BR>⏎184 
d1314<P>⏎
cd2:1315-316 など思し続けて、愛宕に誦経せさせたまふ。またかの心寄せの寺にもせさせたまひて、<BR>⏎
<P>⏎
185 など思し続けて、愛宕に誦経せさせたまふ。またかの心寄せの寺にもせさせたまひて、<BR>⏎
 317 「この笛をば、わざと人のさるゆゑ深きものにて、引き出でたまへりしを、たちまちに仏の道におもむけむも、尊きこととはいひながら、あへなかるべし」<BR>⏎186 
d1318<P>⏎
 319 と思ひて、六条の院に参りたまひぬ。<BR>⏎187 
d1320<P>⏎
 321 女御の御方におはしますほどなりけり。三の宮、三つばかりにて、中にうつくしくおはするを、こなたにぞまた取り分きておはしまさせたまひける。走り出でたまひて、<BR>⏎188 
d1322<P>⏎
 323 「大将こそ、宮抱きたてまつりて、あなたへ率ておはせ」<BR>⏎189 
d1324<P>⏎
cd2:1325-326 とみづからかしこまりて、いとしどけなげにのたまへば、うち笑ひて、<BR>⏎
<P>⏎
190 とみづからかしこまりて、いとしどけなげにのたまへば、うち笑ひて、<BR>⏎
 327 「おはしませ。いかでか御簾の前をば渡りはべらむ。いと軽々ならむ」<BR>⏎191 
d1328<P>⏎
cd6:3329-334 とて抱きたてまつりてゐたまへれば、<BR>⏎
<P>⏎
 「人も見ず。まろ顔は隠さむ。なほなほ」<BR>⏎
<P>⏎
 とて御袖してさし隠したまへば、いとうつくしうて、率てたてまつりたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
192-194 とて抱きたてまつりてゐたまへれば、<BR>⏎
 「人も見ず。まろ顔は隠さむ。なほなほ」<BR>⏎
 とて御袖してさし隠したまへば、いとうつくしうて、率てたてまつりたまふ。<BR>⏎
text37335 <A NAME="in32">[第二段 源氏の孫君たち、夕霧を奪い合う]</A><BR>195 
d1336<P>⏎
 337 こなたにも、二の宮の、若君とひとつに混じりて遊びたまふ、うつくしみておはしますなりけり。隅の間のほどに下ろしたてまつりたまふを、二の宮見つけたまひて、<BR>⏎196 
d1338<P>⏎
 339 「まろも大将に抱かれむ」<BR>⏎197 
d1340<P>⏎
 341 とのたまふを、三の宮、<BR>⏎198 
d1342<P>⏎
 343 「あが大将をや」<BR>⏎199 
d1344<P>⏎
cd2:1345-346 とて控へたまへり。院も御覧じて、<BR>⏎
<P>⏎
200 とて控へたまへり。院も御覧じて、<BR>⏎
 347 「いと乱りがはしき御ありさまどもかな。公の御近き衛りを、私の随身に領ぜむと争ひたまふよ。三の宮こそ、いとさがなくおはすれ。常に兄に競ひ申したまふ」<BR>⏎201 
d1348<P>⏎
cd2:1349-350 と諌めきこえ扱ひたまふ。大将も笑ひて、<BR>⏎
<P>⏎
202 と諌めきこえ扱ひたまふ。大将も笑ひて、<BR>⏎
 351 「二の宮は、こよなく兄心にところさりきこえたまふ御心深くなむおはしますめる。御年のほどよりは、恐ろしきまで見えさせたまふ」<BR>⏎203 
d1352<P>⏎
 353 など聞こえたまふ。うち笑みて、いづれもいとうつくしと思ひきこえさせたまへり。<BR>⏎204 
d1354<P>⏎
 355 「見苦しく軽々しき公卿の御座なり。あなたにこそ」<BR>⏎205 
d1356<P>⏎
cd2:1357-358 とて渡りたまはむとするに、宮たちまつはれて、さらに離れたまはず。宮の若君は、宮たちの御列にはあるまじきぞかしと、御心<A HREF="#k12">のうちに思せど、なかなかその御心</A><A NAME="t12">ば</A>へを、母宮の、御心の鬼にや思ひ寄せたまふらむと、これも心の癖に、いとほしう思さるれば、いとらうたきものに思ひかしづききこえたまふ。<BR>⏎
<P>⏎
206 とて渡りたまはむとするに、宮たちまつはれて、さらに離れたまはず。宮の若君は、宮たちの御列にはあるまじきぞかしと、御心<A HREF="#k12">のうちに思せど、なかなかその御心</A><A NAME="t12">ば</A>へを、母宮の、御心の鬼にや思ひ寄せたまふらむと、これも心の癖に、いとほしう思さるれば、いとらうたきものに思ひかしづききこえたまふ。<BR>⏎
text37359 <A NAME="in33">[第三段 夕霧、薫をしみじみと見る]</A><BR>207 
d1360<P>⏎
 361 大将は、この君を「まだえよくも見ぬかな」と思して、御簾の隙よりさし出でたまへるに、花の枝の枯れて落ちたるを取りて、見せたてまつりて、招きたまへば、走りおはしたり。<BR>⏎208 
d1362<P>⏎
 363 二藍の直衣の限りを着て、いみじう白う光りうつくしきこと、皇子たちよりもこまかにをかしげにて、つぶつぶときよらなり。なま目とまる<A HREF="#k13">心</A><A NAME="t13">も</A>添ひて見ればにや、眼居など、これは今すこし強うかどあるさままさりたれど、眼尻のとぢめをかしうかをれるけしきなど、いとよくおぼえたまへり。<BR>⏎209 
d1364<P>⏎
 365 口つきの、ことさらにはなやかなるさまして、うち笑みたるなど、「わが目のうちつけなるにやあらむ、大殿はかならず思し寄すらむ」と、いよいよ御けしきゆかし。<BR>⏎210 
d1366<P>⏎
 367 宮たちは、思ひなしこそ気高けれ、世の常のうつくしき稚児どもと見えたまふに、この君は、いとあてなるものから、さま異にをかしげなるを、見比べたてまつりつつ、<BR>⏎211 
d1368<P>⏎
cd2:1369-370 「いであはれ。もし疑ふゆゑもまことならば、父大臣の、さばかり世にいみじく思ひほれたまて、<BR>⏎
<P>⏎
212 「いであはれ。もし疑ふゆゑもまことならば、父大臣の、さばかり世にいみじく思ひほれたまて、<BR>⏎
 371 『子と名のり出でくる人だになきこと。形見に見るばかりの名残をだにとどめよかし』<BR>⏎213 
d1372<P>⏎
cd4:2373-376 と泣き焦がれたまふに、聞かせたてまつらざらむ罪得がましさ」など思ふも、「いでいかでさはあるべきことぞ」<BR>⏎
<P>⏎
 となほ心得ず、思ひ寄る方なし。心ばへさへなつかしうあはれにて、睦れ遊びたまへば、いとらうたくおぼゆ。<BR>⏎
<P>⏎
214-215 と泣き焦がれたまふに、聞かせたてまつらざらむ罪得がましさ」など思ふも、「いでいかでさはあるべきことぞ」<BR>⏎
 となほ心得ず、思ひ寄る方なし。心ばへさへなつかしうあはれにて、睦れ遊びたまへば、いとらうたくおぼゆ。<BR>⏎
text37377 <A NAME="in34">[第四段 夕霧、源氏と対話す]</A><BR>216 
d1378<P>⏎
 379 対へ渡りたまひぬれば、のどやかに御物語など聞こえておはするほどに、日暮れかかりぬ。昨夜、かの一条の宮に参うでたりしに、おはせしありさまなど聞こえ出でたまへるを、ほほ笑みて聞きおはす。あはれなる昔のこと、かかりたる節々は、あへしらひなどしたまふに、<BR>⏎217 
d1380<P>⏎
cd2:1381-382 「かの想夫恋の心ばへは、げにいにしへの例にも引き出でつべかりけるをりながら、女は、なほ人の心移るばかりのゆゑよしをも、おぼろけにては漏らすまじうこそありけれと、思ひ知らるることどもこそ多かれ。<BR>⏎
<P>⏎
218 「かの想夫恋の心ばへは、げにいにしへの例にも引き出でつべかりけるをりながら、女は、なほ人の心移るばかりのゆゑよしをも、おぼろけにては漏らすまじうこそありけれと、思ひ知らるることどもこそ多かれ。<BR>⏎
 383 過ぎにし方の心ざしを忘れず、かく長き用意を、人に知られぬとならば、同じうは、心きよくて、とかくかかづらひ、ゆかしげなき乱れなからむや、誰がためも心にくく、めやすかるべきことならむとなむ思ふ」<BR>⏎219 
d1384<P>⏎
 385 とのたまへば、「さかし。人の上の御教へばかりは心強げにて、かかる好きはいでや」と、見たてまつりたまふ。<BR>⏎220 
d1386<P>⏎
cd2:1387-388 「何の乱れかはべらむ。なほ常ならぬ世のあはれをかけそめはべりにしあたりに、心短くはべらむこそ、なかなか世の常の嫌疑あり顔にはべらめとてこそ。<BR>⏎
<P>⏎
221 「何の乱れかはべらむ。なほ常ならぬ世のあはれをかけそめはべりにしあたりに、心短くはべらむこそ、なかなか世の常の嫌疑あり顔にはべらめとてこそ。<BR>⏎
 389 想夫恋は、心とさし過ぎてこと出でたまはむや、憎きことにはべらまし、もののついでにほのかなりしは、をりからのよしづきて、をかしうなむはべりし。<BR>⏎222 
d1390<P>⏎
cd2:1391-392 何ごとも、人により、ことに従ふわざにこそはべるべかめれ。齢なども、やうやういたう若びたまふべきほどにもものしたまはず、またあざれがましう、好き好きしきけしきなどに、もの馴れ<A HREF="#k14">なども</A><A NAME="t14">し</A>はべらぬに、うちとけたまふにや。おほかたなつかしうめやすき人の御ありさまになむものしたまひける」<BR>⏎
<P>⏎
223 何ごとも、人により、ことに従ふわざにこそはべるべかめれ。齢なども、やうやういたう若びたまふべきほどにもものしたまはず、またあざれがましう、好き好きしきけしきなどに、もの馴れ<A HREF="#k14">なども</A><A NAME="t14">し</A>はべらぬに、うちとけたまふにや。おほかたなつかしうめやすき人の御ありさまになむものしたまひける」<BR>⏎
 393 など聞こえたまふに、いとよきついで作り出でて、すこし近く参り寄りたまひて、かの夢語りを聞こえたまへば、とみにものものたまはで、聞こしめして、思し合はすることもあり。<BR>⏎224 
d1394<P>⏎
text37395 <A NAME="in35">[第五段 笛を源氏に預ける]</A><BR>225 
d1396<P>⏎
 397 「その笛は、ここに見るべきゆゑあるものなり。かれは陽成院の御笛なり。それを故式部卿宮の、いみじきものにしたまひけるを、かの衛門督は、童よりいと異なる音を吹き出でしに感じて、かの宮の萩の宴せられける日、贈り物に取らせたまへるなり。女の心は深くもたどり知らず、しかものしたるななり」<BR>⏎226 
d1398<P>⏎
 399 などのたまひて、<BR>⏎227 
d1400<P>⏎
 401 「末の世の伝へ、またいづ方にとかは思ひまがへむ。さやうに思ふなりけむかし」など思して、「この君もいといたり深き人なれば、思ひ寄ることあらむかし」と思す。<BR>⏎228 
d1402<P>⏎
 403 その御けしきを見るに、いとど憚りて、とみにもうち出で聞こえたまはねど、せめて聞かせたてまつらむの心あれば、今しもことのついでに思ひ出でたるやうに、おぼめかしう<A HREF="#k15">もてなして</A><A NAME="t15">、</A><BR>⏎229 
d1404<P>⏎
 405 「今はとせしほどにも、とぶらひにまかりてはべりしに、亡からむ後のことども言ひ置きはべりし中に、しかしかなむ深くかしこまり申すよしを、返す返すものしはべりしかば、いかなることにかはべりけむ、今にそのゆゑをなむえ思ひたまへ寄りはべらねば、おぼつかなくはべる」<BR>⏎230 
d1406<P>⏎
cd2:1407-408 といとたどたどしげに聞こえたまふに、<BR>⏎
<P>⏎
231 といとたどたどしげに聞こえたまふに、<BR>⏎
 409 「さればよ」<BR>⏎232 
d1410<P>⏎
cd4:2411-414 と思せど、何かはそのほどの事あらはしのたまふべきならねば、しばしおぼめかしくて、<BR>⏎
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 「しか人の恨みとまるばかりのけしきは、何のついでにかは漏り出でけむと、みづからもえ思ひ出でずなむ。さて今静かに、かの夢は思ひ合はせてなむ聞こゆべき。夜語らず<A HREF="#k16">とか</A><A NAME="t16">、</A>女房の伝へに言ふなり」<BR>⏎
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233-234 と思せど、何かはそのほどの事あらはしのたまふべきならねば、しばしおぼめかしくて、<BR>⏎
 「しか人の恨みとまるばかりのけしきは、何のついでにかは漏り出でけむと、みづからもえ思ひ出でずなむ。さて今静かに、かの夢は思ひ合はせてなむ聞こゆべき。夜語らず<A HREF="#k16">とか</A><A NAME="t16">、</A>女房の伝へに言ふなり」<BR>⏎
 415 とのたまひて、をさをさ御いらへもなければ、うち出で聞こえてけるを、いかに思すにかと、つつましく思しけり、とぞ。<BR>⏎235 
d2416-417
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text37418 <a name="in41">【出典】<BR>236 
c1419</a><A NAME="no1">出典1</A> 春ごとに花の盛りはありなめどあひ見むことは命なりけり(古今集春下-九七 読人しらず)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎
237<A NAME="no1">出典1</A> 春ごとに花の盛りはありなめどあひ見むことは命なりけり(古今集春下-九七 読人しらず)<A HREF="#te1">(戻)</A><BR>⏎
 420<A NAME="no2">出典2</A> 今さらに何生ひ出づらむ竹の子の憂き節しげき世とは知らずや(古今集雑下-九五七 凡河内躬恒)<A HREF="#te2">(戻)</A><BR>⏎238 
 421<A NAME="no3">出典3</A> 君が植ゑし一村薄虫の音しげき野辺ともなりにけるかな(古今集哀傷-八五三 三春有助)<A HREF="#te3">(戻)</A><BR>⏎239 
c1422<A NAME="no4">出典4</A> 呂氏春秋曰、鍾子期善聴中略鍾子期死、伯牙破琴絶絃(蒙求-伯牙絶絃)<A HREF="#te4">(戻)</A><BR>⏎
240<A NAME="no4">出典4</A> 呂氏春秋曰、鍾子期善聴 (中略鍾子期死、伯牙破琴絶絃(蒙求-伯牙絶絃)<A HREF="#te4">(戻)</A><BR>⏎
 423<A NAME="no5">出典5</A> 浅茅生の小笹が原に置く露ぞ世の憂きつまと思ひ乱るる(源氏釈所引-出典未詳)<A HREF="#te5">(戻)</A><BR>⏎241 
 424<A NAME="no6">出典6</A> 恋しさの限りだにある世なりせば年経ば物は思はざらまし(古今六帖五-二五七一)<A HREF="#te6">(戻)</A><BR>⏎242 
 425<A NAME="no7">出典7</A> 如聴仙楽耳暫明(白氏文集-六〇三「琵琶行」)<A HREF="#te7">(戻)</A><BR>⏎243 
 426<A NAME="no8">出典8</A> 白雲に羽うち交し飛ぶ雁の数さへ見ゆる秋の夜の月(古今集秋上-一九一 読人しらず)<A HREF="#te8">(戻)</A><BR>⏎244 
 427<A NAME="no9">出典9</A> 此時無声勝有声(白氏文集-六〇三「琵琶行」)心には下行く水の湧き返り言はで思ふぞ言ふに勝れる(古今六帖五-二六四八)<A HREF="#te9">(戻)</A><BR>⏎245 
 428<A NAME="no10">出典10</A> 片糸をこなたかなたに撚りかけて逢はずは何を玉の緒にせむ(古今集恋一-四三八 読人しらず)<A HREF="#te10">(戻)</A><BR>⏎246 
c1429<A NAME="no11">出典11</A> 妹いもと我と いるさの山の 山蘭やまあららぎ 手な取り触れそや 顔優るがにや 速く優るがにや(催馬楽-妹と我)<A HREF="#te11">(戻)</A><BR>⏎
247<A NAME="no11">出典11</A> <ruby><rb><rp>(<rt>いも<rp>)</ruby>と我と いるさの山の <ruby><rb>山蘭<rp>(<rt>やまあららぎ<rp>)</ruby> 手な取り触れそや 顔優るがにや <ruby><rb><rp>(<rt><rp>)</ruby>く優るがにや(催馬楽-妹と我)<A HREF="#te11">(戻)</A><BR>⏎
 430<A NAME="no12">出典12</A> かくばかり惜しと思ふ夜をいたづらに寝て明かすらむ人さへぞ憂き(古今集秋上-一九〇 凡河内躬恒)<A HREF="#te12">(戻)</A><BR>⏎248 
d1431
text37432<p> <a name="in42">【校訂】<BR>249 
 433備考--(/) ミセケチ--$ 抹消--# 補入--+ 傍書--= ナゾリ--& 独自異文等--* 朱筆--<朱> 不明--△<BR>⏎250 
c1434</a><A NAME="k01">校訂1</A> いかにぞやと--*いかにそや<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
251<A NAME="k01">校訂1</A> いかにぞやと--*いかにそや<A HREF="#t01">(戻)</A><BR>⏎
 435<A NAME="k02">校訂2</A> 折々に--おり/\(/\/+に<朱>)<A HREF="#t02">(戻)</A><BR>⏎252 
 436<A NAME="k03">校訂3</A> 一襲--(/+一)かさね<A HREF="#t03">(戻)</A><BR>⏎253 
 437<A NAME="k04">校訂4</A> 不便--ふむ(む/$<朱>)ひん<A HREF="#t04">(戻)</A><BR>⏎254 
 438<A NAME="k05">校訂5</A> 誰が--たる(る/$か<朱>)<A HREF="#t05">(戻)</A><BR>⏎255 
 439<A NAME="k06">校訂6</A> と--*ナシ<A HREF="#t06">(戻)</A><BR>⏎256 
 440<A NAME="k07">校訂7</A> 事の--こと(と/+の<朱>)<A HREF="#t07">(戻)</A><BR>⏎257 
 441<A NAME="k08">校訂8</A> 語り--かたる(る/$り)<A HREF="#t08">(戻)</A><BR>⏎258 
 442<A NAME="k09">校訂9</A> いるさの山の--(山/+の)<A HREF="#t09">(戻)</A><BR>⏎259 
 443<A NAME="k10">校訂10</A> あるかし--あるは(は/$か<朱>)し<A HREF="#t10">(戻)</A><BR>⏎260 
 444<A NAME="k11">校訂11</A> 来たる--きた(た/+る)<A HREF="#t11">(戻)</A><BR>⏎261 
 445<A NAME="k12">校訂12</A> のうちに思せど、なかなかその御心--(/+のうちにおほせと中/\その御心<朱>)<A HREF="#t12">(戻)</A><BR>⏎262 
 446<A NAME="k13">校訂13</A> 心--*ところ<A HREF="#t13">(戻)</A><BR>⏎263 
 447<A NAME="k14">校訂14</A> なども--(/+な)とも<A HREF="#t14">(戻)</A><BR>⏎264 
 448<A NAME="k15">校訂15</A> もてなして--もてなし△(△/#て)<A HREF="#t15">(戻)</A><BR>⏎265 
 449<A NAME="k16">校訂16</A> とか--と(と/+か<朱>)<A HREF="#t16">(戻)</A><BR>⏎266 
d1450</p>⏎
 451<p><a href="index.html">源氏物語の世界ヘ</a><BR>⏎267 
 452<a href="roman37.html">ローマ字版 </a><BR>⏎268 
 453<a href="version37.html">現代語訳 </a><BR>⏎269 
 454<a href="note37.html">注釈</a><BR>⏎270 
 455<a href="data37.html">大島本</a><BR>⏎271 
 456<a href="okuiri37.html">自筆本奥入</a><BR>⏎272 
d1457</p>⏎
 458<hr size="4">⏎273 
 459</body>⏎274 
 460</HTML>⏎275 
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